5月の日経平均株価は5カ月連続で上昇した。前月末比2031円44銭(7.03%)高の3万0887円88銭で終え、33年ぶりの高値圏にある。新型コロナウイルスの第5類移行などを受けた本格的な経済再開による需要拡大期待や企業業績の底堅さといった好材料が買いを誘った。海外投資家の買い意欲の高まりも株価を押し上げ、日経平均の上昇率は世界の主要株価指数のなかで首位だった。
日経平均は22日まで8日続伸し、この日は3万1086円82銭で終えた。終値ベースで約33年ぶりに節目の3万1000円台に乗せた。29日には一時3万1560円43銭と1990年7月以来の高値を付けた。
米欧で景気後退入りが意識されるなか、コロナ禍からの経済再開を背景とした景気の底堅さが日本株の買い材料になった。日銀の植田和男総裁が就任後初の4月末の金融政策決定会合後の記者会見で、金融緩和を粘り強く継続する姿勢を示し、5月を通じて日本株の追い風となった。2023年3月期決算の発表が本格化し、業績や業績見通しの堅調さが好感された。東京証券取引所のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に対する資本効率の改善要請を受け、日本企業の経営改革に対する期待も高まっている。増配や自社株買いなどの株主還元策も評価された。
4月に来日した米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が5大商社株の買い増しを明らかにし、日本株に強気姿勢を示したことも引き続き支援材料となった。バフェット氏は5月6日、同氏が率いるバークシャー・ハザウェイの年次株主総会で「これからも日本企業の投資先を探していく」と発言。海外勢の関心の高まりを背景に、日本株相場は上げ足を速めた。東証によると海外勢は5月第4週まで9週連続で現物株(東証・名証の合計)を買い越し、この間の累計買越額は4兆136億円に達した。
1年前に算出を始めた日経平均気候変動1.5℃目標指数は30日に3万1208円28銭と過去最高値を更新した。月間の上昇率は7.67%に達した。日経平均外需株50指数とJPX日経インデックス400も5月下旬に最高値をつけた。
この月の世界の8つの主要株価指数をみると、米国のハイテク比率が高いナスダック総合株価指数はAI(人工知能)需要への期待などから前月末比5.79%高となった。S&P500種株価指数は0.24%と小幅な上昇にとどまった。その他の海外指数は軒並み下落し、日経平均の好調さが際立った。
東証プライム市場の5月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で3兆4881億円だった。新しい市場区分で活況の目安とされる3兆円を2カ月ぶりに上回った。
(2023年6月2日)