8月の日経平均株価は3カ月ぶりに上昇した。終値は2万8089円54銭で、7月末に比べ805円95銭(2.95%)値上がりし、この月の高値で終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による8月27日の講演を受けて金融緩和政策が長く続くとの受け止めが広がり、月末にかけてハイテク株などを軸に米国株が値上がりして、欧州株や日本株が追随した。
日経平均は中旬までさえず、20日には2万7013円25銭となり2020年12月28日(2万6854円03銭)以来、およそ8カ月ぶりの安値を付けた。2021年8月の高値と安値の差である月中の値幅は1076円29銭で、7月(1499円69銭)より縮小した。トヨタが新型コロナウイルスの感染拡大などを理由に大幅減産を発表し、自動車関連株を中心に売りが広がった。
コロナ感染拡大や中国当局の産業規制の強化懸念から中国などのアジア株が軟調で、日経平均の足を引っ張ってきた側面もあった。アジア各国・地域の主要株で構成する日経アジア300指数は8月20日に1654.67を付けて、2020年12月25日(1654.56)以来、約8カ月ぶりの安値となった。
その後の日経平均は自律反発をきっかけに反転し始めた。パウエルFRB議長が27日、米国で開かれた恒例の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、量的緩和の縮小(テーパリング)を年内に開始するのが適当との考えを示した一方、「利上げ時期についての直接的なシグナルにはならない」とも指摘した。市場にある早期の利上げ観測の後退につながり、米国株への買い安心感につながった。
米国市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は30日にそれぞれ過去最高値を更新した。16日に過去最高値を付けたダウ工業株30種平均も短期的な調整の後に復調した。この流れに後押しされ、英FTSE100種総合株価指数などの欧州株や日経平均、中国の香港ハンセン指数などアジア株が月末にかけて盛り返した。
東証1部の8月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で2兆3702億円となり、市場の活況度合いの節目となる2兆円を上回った。
(2021年9月2日)