12月の日経平均株価は3カ月ぶりに上昇した。終値は前月末比969円95銭(3.48%)高の2万8791円71銭となった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大による経済停滞懸念が後退するにつれて主力株が買い戻された。世界の主要株式指数をみると、米国株が半導体関連株の復調もあってけん引役となり、欧州株や日経平均が続いた。
11月下旬に南アフリカでオミクロン型が検出されたと伝わって以降、日経平均は軟調に推移し、12月2日に2万7753円37銭へと下落して10月7日(2万7678円21銭)以来、約2カ月ぶりの安値を付けた。その後、オミクロン型は感染力が強いものの重症化リスクは従来型より低いとの見方が広がり、日経平均は12月28日に2万9069円16銭と11月25日(2万9499円28銭)以来、約1カ月ぶりの高値まで戻した。12月の高値(28日)と安値(2日)の差である月中値幅は1315円79銭で、8月(1076円29銭 )以来の小ささだった。
投資家が予想する日経平均の先行きの変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス」は、市場が落ち着きを取り戻す流れを映し出した。オミクロン型の検出を受けて11月30日に2020年10月30日(30.45)以来、約1年1カ月ぶりの高水準となる29.13まで急上昇していたが、21年12月中旬ごろには急上昇する前の20程度まで低下し、その後も同水準で推移した。
世界の主要市場をみてもオミクロン型の感染拡大懸念の後退による戻り歩調が目立った。米国のダウ工業株30種平均は29日に1カ月半ぶりに過去最高値を更新、月間で5%強上昇した。英国のFTSE100種総合株価指数や米S&P500種株価指数も5%弱上昇した。
東証1部の12月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で2兆4483億円となり、市場の活況の目安となる2兆円を上回った。
2021年の日経平均は20年末比1347円54銭(4.91%)高と3年連続で上昇した。年末終値として1989年のバブル期のピーク以来、32年ぶりの高値となった。米国などで今後の金融引き締めに焦点が集まったものの世界的な緩和環境が基本的に続き、日本では秋の自民党総裁選に向けた政策論戦や衆院選での自民党大勝による積極財政期待などもあり株価が押し上げられた。21年の年間の値幅は3656円85銭で、前年(1万1015円32銭)を大きく下回り、9年ぶりの小ささだった。年間の売買代金は1日平均で2兆7000億円余りとなり前年を1割強上回った。
(2022年1月6日)