5月の日経平均株価は2カ月ぶりに上昇した。終値は前月末比431円90銭(1.60%)高の2万7279円80銭だった。月末にかけて米国でインフレ懸念の後退から主要株価指数が持ち直し、日本株も買い戻された。日経平均をベースに温暖化ガスの排出量削減に配慮した日経平均気候変動1.5℃目標指数が30日に算出開始となり、月末は2万7144円36銭だった。
日経平均株価は12日に2万5748円72銭まで下落し、3月15日(2万5346円48銭)以来、約2カ月ぶりの安値をつけた。その後に上昇基調に転じて30日に2万7369円43銭となり、4月21日(2万7553円06銭)以来およそ1カ月ぶりの高値をつけた。5月の月中値幅は1620円71銭で、4月(1453円00銭)とさほど変わらなかった。
米国で11日発表の4月の消費者物価指数は前年同月比の上昇率が市場予想を上回った。金融引き締め懸念から株が売られて、日本株やアジア株に波及した。日経アジア300指数は12日に1456.31をつけ、2020年11月4日(1454.96)以来、1年半ぶりの安値となった。その後は自律反発狙いの買いがみられた。米国で27日発表の4月の個人消費支出の物価指数の上昇率が前月に比べて鈍化し、インフレ懸念がひとまず後退して株価が値上がりした。これを受けた30日の日経平均は前週末比587円75銭(2.19%)の大幅高になった。
日経気候変動指数は地球温暖化抑止の国際枠組み「パリ協定」に沿った欧州規則に適合する仕組みで30日に算出を開始した。同日は過去に遡って算出した前週末値に比べ605円32銭(2.27%)高の2万7231円06銭と好調な滑り出しとなった。もっとも足元は日経平均の水準を100円程度下回って推移している。ウクライナ危機などによる資源高のなか、日経平均の構成企業から資源高の恩恵を受けやすい化石燃料関連事業が一定以上の企業を外して指数算出している影響が大きい。長期的に脱炭素は必要だが、足元は資源確保が重要との市場評価を映し出している。
5月の月間で世界の主要株価指数をみると、米S&P500種株価指数、米ダウ工業株30種平均はほぼ横ばいで踏みとどまった。ハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指数は2%程度下げた。一方、上海総合株価指数が約4%高、ドイツ株価指数(DAX)が2%程度の上昇となるなど、アジアや日本、欧州の株価は米国に比べて健闘した。
東証プライム市場の5月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均3兆2184億円。最上位市場として前身の1部の活況の目安だった2兆円を4月の発足から2カ月連続で上回った。
(2022年6月2日)