8月の日経平均株価は2カ月連続で上昇した。終値は前月末比289円89銭(1.04%)高の2万8091円53銭だった。月半ばまでに米国でインフレ抑制に向けた利上げペースの減速観測から米国株が堅調で、これを受けて日経平均は17日に2万9000円台を回復した。しかし月末にかけて米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ抑制を最優先する姿勢を示して米国株が下落した。日経平均もつれ安となったが月間ではかろうじて上げ幅を確保した。
日経平均は17日に前日比300円超の上昇で2万9222円77銭となり、1月5日以来、約7カ月ぶりの高値を記録した。主要企業の好決算や為替の円安も支援材料となった。この月の安値である8月2日との差となる月間値幅は1628円04銭だった。もっとも、その後は月末までに1100円余り下落した。
パウエルFRB議長は米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で26日に講演した。高インフレ抑制を「やり遂げるまでやり続けないといけない」などと語った。ここ最近の急激な利上げを受けた市場による今後の利上げペースの減速観測を一蹴した。週明け29日の東京市場では、投資家が予想する日経平均の先行きの変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス」が21.42と前週末26日に比べ2.70(14.42%)上昇した。「平時」の水準の20程度にとどまるものの市場の先行き警戒への振れを映した。
5月末に算出開始の日経平均気候変動1.5℃目標指数は8月中、日経平均株価を60円~130円程度下回って推移した。ウクライナ危機などで資源高が根強いなか、長期の脱炭素の重要性は変わらないものの足元は資源確保が大事との市場評価を映した。
8月の世界の株価指数をみると、米国のナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数、ダウ工業株30種平均が総じて4%台の下落となった。欧州株ではドイツ株価指数(DAX)が4%台後半の下げで目立った。上海総合指数や香港のハンセン指数も、おおむね1%程度の下落となったなかで、日経平均は相対的に健闘した。
東証プライム市場の8月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で2兆6443億円となり、新しい市場区分で活況の目安とされる3兆円を3カ月連続で下回った。
(2022年9月2日)