4月の日経平均株価は2カ月ぶりに下落した。終値は前月末比973円53銭(3.49%)安の2万6847円90銭だった。米国でインフレ抑制へのさらなる金融引き締め観測から金利が上昇して株価が大きく調整した。この波及に加え、中国での新型コロナウイルス感染拡大による景気減速懸念もあり、アジア株や日本株も軟調に推移した。
日経平均は12日に2万6334円98銭まで下落し、3月16日以来、約1カ月ぶりの安値をつけた。4月の高値である5日の2万7787円98銭との差であるこの月の月中値幅は1453円00銭だった。
米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事が5日、ミネアポリス連銀のイベントにオンラインで出席し、量的引き締め(QT)と呼ばれる資産圧縮について「5月にも急ピッチで始める」と発言した。金融引き締めに慎重な「ハト派」とされる同氏だが、インフレ封じ込めに積極的な姿勢を示した。4月6日公表の3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨ではFRBによる保有資産の縮小や利上げ幅などの具体的な議論が明らかになった。この一連の動きに米国市場は金利高・株安の方向で大きく反応した。
4月の日本株は主力となる輸出企業の大型株を中心に下落した。日経平均の構成銘柄のうち海外売上高比率が高い企業で構成する「日経平均外需株50指数」は月間で3.32%低下した。米金利高は日米金利差の拡大を通じて為替の大幅な円安・ドル高につながったものの、資源高などによる日本の経常赤字の定着懸念から「悪い円安」への警戒感が強く、輸出株への下支え効果は目立たなかった。
アジア株の動向を示す日経アジア300指数は27日に1520.52まで下落して、3月15日の年初来安値(1519.25)に迫った。
世界の主要株価指数をみると、ハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指数が4月の月間で約13%のきつい下げとなった。米S&P500種株価指数は9%程度、米ダウ工業株30種平均は約5%それぞれ下落した。アジアでは上海総合株価指数が6%程度、香港ハンセン指数が約4%それぞれ下げた。日経平均の下落率(3.49%安)はこれらに続く。欧州の主要株価指数はまちまちだった。
東証の市場再編で1部から4月4日に最上位市場を引き継いだプライム市場の同月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で2兆6382億円となり、東証1部の活況の目安とされた2兆円を上回った。
(2022年5月2日)