28,892.69

2021年10月の日経平均株価

10月の日経平均株価は3カ月ぶりに下落した。終値は2万8892円69銭で、9月末から559円97銭(1.90%)安となった。原油高を受けた米長期金利の上昇を受けて、東京市場では成長(グロース)株などが売られ、日経平均は6日に1カ月半ぶりの安値を付けた。その後は為替相場のドル高・円安などで上向いたが前月末の水準には届かず、主要指数が月末にかけて過去最高値を更新した米国株との違いが際立った。

日経平均は6日に2万7528円87銭を付けて、8月23日(2万7494円24銭)以来の安値を記録した。原油高は日本企業のコスト負担増への懸念にもつながった。岸田文雄首相が勝利した自民党総裁選に向けた景気浮揚策への期待から9月14日に付けた約31年ぶり高値(3万0670円10銭)に比べ3100円程度安い水準となった。

原油高はインフレ圧力を通じて米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の正常化を早める可能性にもつながるため、世界の株価の先導役である米国株の調整リスクを市場に意識させた。東京市場では投資家が予想する日経平均の先行きの変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス」が6日、25.72を付けて5月19日(25.73)以来の高水準となった。

その後に日経平均は戻り歩調をたどった。この月の高値は20日の2万9255円55銭で、6日の安値との差となる月間の値幅は1726円68銭だった。2万9000円を超えると上値の重さを意識した戻り待ちなどの売りが出て、月末は2万9000円を下回って終えた。新型コロナウイルスの感染者数の減少が進んだ一方、31日投開票の衆院選の結果を見極めたいとのムードも強まり、相場は次第に方向感を欠いた。

主要国の株式市場の間では米国の強さが目立った。2021年7~9月期の決算発表シーズンとなった月後半に、好決算企業をけん引役としてダウ工業株30種平均、ナスダック総合株価指数、S&P500種株価指数が相次ぎ最高値を更新した。

東証1部の10月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で2兆9535億円となり、相場の活況の目安となる2兆円を大きく上回った。ただ日経平均が約31年ぶりの高値を付けた前月(3兆4060億円)を下回った。

202110_225.png(2021年11月2日)