6月の日経平均株価は2カ月ぶりに下落した。終値は2万8791円53銭で、5月末に比べ68円55銭(0.23%)の小幅安だった。米連邦準備理事会(FRB)の将来の利上げを意識させる材料が出た月半ばごろに、米国株に連れて日本株も大きく値下がりした。その後は米国株が復調して日経平均も持ち直したが、5月末の水準を取り戻せないまま6月を終えた。
日経平均は月前半に2万9千円を挟んで推移し、月半ばに入ると急変した。FRBが16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2023年中にゼロ金利政策を解除する方針を示し、この週の米国株は大幅安となった。週明け21日の日経平均は6月の安値となる前週末比953円15銭(3.29%)安の2万8010円93銭を付け、5月17日以来、約1カ月ぶりの低水準を記録した。この日の下落幅は2月26日(1202円26銭)以来の大きさだった。
もっとも、これを受けた同日の米国市場では直近の急落が過剰との見方から米国株が大幅反発した。すると22日の日経平均も前日比873円20銭(3.11%)高の2万8884円13銭となり、上昇幅は2020年6月16日(1051円26銭)以来、約1年ぶりの大きさになった。
市場心理の急激な変化は、投資家が日経平均の将来の変動を大きいと想定すると数値が上昇する「日経平均ボラティリティー・インデックス」に表れた。21日に23.98に急上昇し、5月20日以来の高水準となった。その数日後には急上昇する前の18程度まで低下した。
月末にかけて日経平均は方向感を欠いた。新型コロナウイルスの変異種の感染拡大が上値の重荷になった一方、米超党派議員の1兆ドル規模のインフラ投資計画の合意などで米国株が上向き日本株の下値を支えた。日経平均の6月の高値は15日の2万9441円30銭で、月中の値幅は1430円37銭だった。中小型の景気敏感株への物色を受け、日経ジャスダック平均株価は30日に3997円50銭となり、2018年5月22日以来の高値になった。
東証1部の2021年6月の売買代金(立会市場ベース)は1日平均で2兆4145億円となり、市場の活況度合いの節目となる2兆円を上回った。
2021年上半期(1~6月)の日経平均は2020年12月末と比べ、1347円36銭(4.90%)高で終えた。世界的なワクチン普及や財政出動への期待から2月16日に30年半ぶり高値の3万0467円75銭をつけた。米国で株価調整が進んだ5月には日経平均も13日に2万7448円01銭の年初来安値を付けたが、その後は2万9千円程度で推移した。
(2021年7月5日)