5月の日経平均株価は2カ月ぶりに上昇した。終値は2万8860円08銭で、4月末に比べ47円45銭(0.16%)高だった。主要国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、日本でも大規模接種が始まり、国内外の景気回復期待から月末にかけて景気敏感株を中心に買われた。月半ばには米長期金利高を受けて国内外のハイテク株への売りが勢いづき、日経平均は13日までの3日間で2000円強下落したため、月間では小幅な値上がりにとどまった。
大型連休明けの日経平均は4月の米雇用統計を受けた米金融緩和の長期化観測が支えとなり、2万9千円台で推移していた。5月の高値は10日の2万9518円34銭だった。
その後、12日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想以上の伸びとなり、米長期金利の上昇が目立つと、相場のけん引役となってきた米ハイテク株が割高感から売られた。米国株式相場に短期的な調整が入り、日本でも半導体関連株を中心に売られて日経平均は13日に5月の安値となる2万7448円01銭を付け、1月6日以来の低水準となった。月中の値幅は2070円33銭で2月以来の大きさだった。
13日までの急落局面では市場参加者が相場に対する急変動リスクへの警戒度を高めた。投資家が日経平均の将来の変動を大きいと想定すると数値が上がる仕組みの「日経平均ボラティリティー・インデックス」は13日に28.31へと急上昇し、1月29日以来の高水準になった。その後は急上昇する前の20程度まで低下した。
日経平均は5月後半に下落幅を取り戻す動きをみせた。24日から東京と大阪で大規模接種が始まるなどしてコロナのワクチン普及に焦点があたるなか、米欧の企業景況感の改善を受けた景気敏感株への買いが目立った。5月を通じてみれば、なお最高値圏にある米ダウ工業株30種平均などの主要な米欧指数とおおむね同じ値動きをたどった。
東証1部の1日平均の売買代金(立会市場ベース)は2兆8157億円だった。前月や前年同月より約4000億円増えて、市場の活況度合いの節目となる2兆円を上回った。
(2021年6月2日)