英国による欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が始まった2016年6月23日(木)の東京市場は嵐の前の静けさに包まれていた。東証1部の売買代金は前日比8%減の1兆5701億円。直前の世論調査でEU残留派が優勢となって一部の海外投資家が株価指数先物に買いを入れ、裁定取引で現物株に買いが入った。日経平均株価の終値は前日比172円高だったが、投資家の多くは「まさか」に備えて守りの姿勢を崩していなかった。
翌24日(金)も朝方は前日の欧米株高もあって買いが先行した。ところが、正午すぎに離脱を求める票が残留を上回ることが確実になると、ヘッジファンドなどの短期筋や機関投資家を中心に売りが売りを呼ぶ展開になった。外国為替市場で円が1ドル=99円まで急騰し、企業の輸出採算悪化などへの懸念が高まった。株価指数先物が下げを主導し、大阪取引所は日経平均先物取引の一時中断措置を3年ぶりに発動した。
英国のEU離脱(ブレクジット)決定の衝撃は大きく、24日の終値は前日比1286円(8%)安の1万4952円と1年8カ月ぶりの安値を付けた。下げ幅は過去8番目、下落率は過去9番目の大きさだった。東証1部で値上がりしたのはわずか6銘柄と1987年の「ブラックマンデー」の時の7銘柄より少なかった。世界の株式市場はアジア市場を手始めに、震源地・欧州から米国へと時差を追うように株安が連鎖し同時安の様相を呈した。
※日経平均プロフィルの「日次サマリー」では、04年9月末以降の日経平均の日中の値動きを振り返ることができます。日経平均の「上昇・下落記録」もご覧いただけます。
(2017年6月16日更新)