安倍晋三首相が就任して約半年がすぎた2013年5月23日(木)の東京株式市場は朝方から日経平均株価が上昇し、年初来高値を更新した前日の流れを引き継ぐかに思われた。しかし、10時40分すぎに中国の景気指標である5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)の悪化が伝わると株価指数先物に売り注文が相次いで日経平均も下落。大阪証券取引所は午後2時すぎ、日経平均先物の取引を一時中断する「サーキットブレーカー」を発動。HFT(高頻度取引)やヘッジファンドの売りも加速、日経平均は取引終了にかけての15分間で400円近く下げた。終値は1万4483円。下げ幅は1143円と過去12番目の大きさだった。
この日は投資家が日経平均の将来の変動をどのように想定しているかを表す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)も大きく変動した。12時すぎに30に達し、大引けを控えた14時53分には危機的な水準とされる40を突破。大引け直後に48を超えた。
第2次安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待から外国人投資家は日本が長期の停滞から脱すると期待し、日本株を大幅に買い越していた。政権発足前の12年11月中旬から22日まで日経平均は8割上昇。市場は相場の過熱感への警戒感が高まっていた。中国景気指標の悪化がきっかけとなり、株価が大きく調整したのが23日の出来事だった。
翌24日(金)は午前中に上げ幅が500円を超え1万5000円台を回復したが、日経平均VIは高止まり、午後には一時1万4000円台を割り込むなど不安定な値動きが続いた。海外投機筋による売りに対し、中長期的な企業業績改善に期待した買いが交錯する展開が続き、振れ幅が大きくなった。この日の取引時間中の高値と安値の差(日中値幅)は1025円と2日連続で1000円を超えた。
※日経平均プロフィルの「日次サマリー」では、04年9月末以降の日経平均の日中の値動きを振り返ることができます。日経平均の「上昇・下落記録」もご覧いただけます。
(2017年5月23日更新)