株式市場の値動きは安定していたり、荒っぽくなったりします。相場の荒れ具合を知ることは、投資のタイミングをはかるうえで重要です。ボラティリティー・インデックス(VI)は、投資家が将来の市場の値動きの大きさをどう想定しているかを表す指数です。日経平均株価の1カ月先の変動率を示す日経平均VIのほか、米国のS&P500種株価指数と対象としたVIX指数やユーロ圏の株価指数STOXX50を対象としたVSTOXXなどがあります。VIX指数は2008年のリーマン・ショックの際に80以上まで急騰し、「恐怖指数」として知名度が高まりました。
オプション取引では、過去の原資産価格から計算される変動率(=ヒストリカル・ボラティリティー)ではなく、取引参加者が考える原資産の将来の変動率をもとにして価格が決まります。そのため、オプションの価格(プレミアム)には、市場で想定されている将来の変動率が織り込まれていると考えることが出来ます。このようにオプション価格に織り込まれた将来の変動率をインプライド・ボラティリティ―と言います。多くのVIは、将来の変動率を表すために市場で取引されたオプション価格を用いて計算しています。
日経平均VIの場合、大阪取引所に上場している日経平均先物と日経平均オプションの価格から算出します。2010年11月に公表が始まり、1989年6月までさかのぼって算出しています。指数が高いほど投資家は今後相場が大きく変動すると見込んでいることを意味し、実際に市場が不安定になると日経平均VIは高くなります。例えば、日経平均VIが20である場合、1カ月先の日経平均が7割弱の確率で上下6%程度(年率では20%)の騰落率に収まると想定していることを意味します。公表後の推移をみると、平時にはおおむね20~30の範囲で推移しており、30や40といった節目に注目する市場関係者が多いようです。
2011年の東日本大震災後に福島第1原子力発電所の事故が深刻化した3月15日に日経平均VIは70近くまで急上昇しました。2015年夏の中国人民元の切り下げ後に47まで上昇したほか、2016年6月に英国の欧州連合(EU)からの離脱方針が決まった翌日も40を超えました。
(参考情報)日経平均プロフィル「日経平均ボラティリティー・インデックス算出要領」
(2016年7月8日更新)