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5月1日・2月25日... 「上昇確率7割超」の経験則

株式投資の超キホン「日経平均」を知ろう!(8)

2019年も早いもので2月半ばとなりました。大発会は452円安と3年ぶりに下落し、日経平均株価の終値は節目の2万円を割り込むスタートでしたが、その後は底堅く推移しています。今年も米国と中国の貿易摩擦の行方が相場を左右するテーマとなりそうで、先行きを見通しづらい状況が続くでしょう。売買のタイミングをどうつかめばいいのか、判断が難しいとき、知っておくと参考になりそうなのは「過去の傾向」かもしれません。

例えば前回は干支に着目した相場の動きをお話しました。今年の干支、亥の日経平均は過去5回ありますが、前年から上昇すれば勝ち、下落は負け、とすると4勝1敗で、勝率は十二支中3位です。それなのに、今年はいきなりの2万円割れスタートでした。大発会の値動きはその年を象徴するものなのでしょうか。早速、過去の実績で調べてみましょう。

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日経平均の草創期は「大発会に上げれば(あるいは下げれば)、その年は上がる(あるいは下がる)」といった経験則がほぼ的中しています。1950年代は9回、60年代は8回です。景気が拡大し、相場が上昇し続けた80年代も大発会の値動きがその1年を表していました。一方、バブル経済がはじけた90年代は3回でした。政権交代が相次ぎ国内政治が不安定になった時代で、突発的に国内金融機関の倒産が相次ぎました。短期の売買を繰り返す海外のファンドが台頭したせいもあるでしょう。

2000年以降は経済のグローバル化が進み、海外の金融政策や景気動向が相場に影響を与えるようになりました。新興国の経済が成長し、世界的に景気拡大が進んだ時期は「大発会で上昇すれば、その1年で日経平均株価が伸びる」という規則性が見られます。半面、英国の欧州連合(EU)離脱やトランプ米大統領の繰り出す政策など、10年代は後半にかけて国際情勢が大きく変化しています。そのせいか大発会とその年の値動きの一致は薄らぐ傾向にあります。大発会が下落スタートだった3年前の2016年も終わってみれば上昇でした。そうすると、下げて始まった19年もこの先は上昇に期待できるかもしれません。

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では日経平均70年の歴史からみた「一番上昇しやすい月」はいつなのでしょう。前の月の終値と比べ、その月の終値が上昇する回数が最も多いのは1月なのです。今年1月も反発しました。1月の日経平均は49勝21敗で、勝率は実に70%です。6月も上昇しやすい月で、これまで46勝24敗、勝率は66%と12カ月中、2位という成績を残しています。ボーナスの出る月でもあり、個人投資家が日本株買いに動きやすいからでしょうか。このほか勝率を見ると、僅差で4月(65%)、12月(63%)が続いています。

一方、これまでの成績は32勝38敗と12カ月中、唯一負け越しで、勝率は46%と最も勝率が低い月があるのですが、皆さんは分かりますか?

答えは9月です。3月期決算の企業が上半期(4~9月期)の決算対策でいったん保有する株を売る時期、という見方があるようです。振り返れば米同時テロやリーマン・ショックなど世界を揺るがす出来事が起きたのも9月でした。5月と7月も勝率は51%で、かろうじて勝ち越している月です。

日付で勝率を見ると、最も高い日はいつになるでしょう。単純に比較すると、2月11日で勝率は80%(12勝3敗)です。「建国記念の日」の祝日として施行される前は取引がありました。取引の回数が50回以上ある日付に絞ってみると、5月1日が勝率75%(41勝14敗)と最も高い日で、次いで高い順に2月25日、1月14日、12月26日が7割を超えています。一方、勝率が最も低い日はいつでしょう。答えは11月7日で、18勝39敗、勝率は32%でした。

「きょうは過去の日経平均でみると何勝何敗だったのかな」。

basics8-3.jpg日付別の騰落実績や勝率を調べたいときは日本経済新聞社の指数公式サイト「日経平均プロフィル」で確認できます。トップページのアーカイブをクリックし、次の画面で「騰落率カレンダー」を選ぶと、月単位で日付がカレンダー表示され、アクセスした当日は青枠で囲んであります。その月で最も勝率が高い日は赤、低い日は緑で表示されます。データは日々アップデートされています。

売買のタイミングを判断するとき、過去の実績や経験則を過信するのは禁物ですが、傾向をつかむ1つの材料にはなるでしょう。こうしたデータがあるのも日経平均の歴史の長さゆえと言えそうです。

(2019年2月15日付日経電子版掲載)