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225銘柄 バランス重視の「代表選手」

■株式投資の超キホン「日経平均」を知ろう!(2)

新聞記事やテレビのニュース番組でおなじみの日経平均株価。「聞いたことはあるけど、何の平均だっけ? 上場企業すべての株価を平均した数字なのかな?」。こんな疑問を持つ人は意外に多いかもしれません。今回はその中身について考えてみましょう。

前回、日経平均は東証1部に上場する代表的な225銘柄で算出している、と説明しましたね。どうして200や300といったキリのいい数字ではなく、225銘柄なのでしょうか。

歴史の古い株価指数なので、詳しい経緯は不明ですが、売買高の多い銘柄を全業種からバランスよく選んだ結果、算出を開始した1950年にはすでにこの数に落ち着いていたようです。代表的な225銘柄で構成する株価指数、というコンセプトを守りながら、歴史を積み重ねてきたのが日経平均です。いまや海外でも「Nikkei225」の名称で幅広く浸透しています。

ところで、サッカーのワールドカップ(W杯)に出場した代表選手はどのように選ばれたのでしょう。恐らく過去の実績や経験、そして直前までの試合での戦いぶりが選考に大きく影響したはずですよね。選考に判断基準があるように、日経平均の採用銘柄にも選ぶ尺度があります。大きく分けると「市場での流動性の高さ」と「業種のバランス」という2つの要素に着目しています。

basics2-1.png流動性、と言うとちょっと分かりにくいかもしれませんね。言い換えるなら、過去5年間の売買代金や値動きの安定性に注目しながら、活発に売買されているかどうかをみている、というわけです。

さらに特定の業種に偏らないように、バランスにも配慮しています。日本経済新聞社では自動車や精密機器、銀行、食品、鉄鋼、商社、建設など業種を36に分類しています。これを大まかに「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」という6つのカテゴリーに分け、この中から日経平均の採用銘柄をバランスよく選んでいます。

日経平均の225銘柄は毎年1回、秋に定期見直しを実施しています。市場流動性と業種のバランスを考慮し、新しく組み入れる銘柄と外す銘柄を選びます。見直した結果、入れ替えが生じない場合もあります。なおREIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)などは日経平均採用の対象外です。

basics2-2.pngさて、6つのカテゴリーを1つずつ見ていきましょう。まず「技術」には医薬品、電気機器、自動車、精密機器、通信の5業種が含まれています。例えば武田薬品工業や日立製作所、ソニー、トヨタ自動車、コニカミノルタ、ソフトバンクグループなどが代表的で、57銘柄あります。「金融」は銀行、証券、その他金融、保険の4業種で、三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめとするメガバンクのほか野村ホールディングス、大和証券グループ本社、SOMPOホールディングスなど21銘柄です。

「消費」も4業種で、水産、食品、小売業、サービスがこのカテゴリーに入ります。例えばマルハニチロやアサヒグループホールディングス、ファーストリテイリング、ヤフーなど32銘柄がこのグループです。

現在、カテゴリー別で見た銘柄数が最も多いのは「素材」で、10業種60銘柄が日経平均に採用されています。鉱業、繊維、パルプ・紙、化学、石油、ゴム、窯業、鉄鋼、非鉄・金属、商社の10業種で、この中には国際石油開発帝石、東レ、日本製紙、三菱ケミカルホールディングス、昭和シェル石油、ブリヂストン、TOTO,新日鉄住金、SUMCO、伊藤忠商事などが入ります。

basics2-3.png「資本財・その他」は少しイメージしにくい分類名かもしれません。建設、機械、造船、輸送用機器、その他製造、不動産の6業種で、35銘柄あります。大成建設やコマツ、三井E&Sホールディングス、大日本印刷、三菱地所などが代表例です。なお現在、輸送用機器の採用銘柄はありません。先ほどお話した6つのカテゴリーでバランスを考えているため、36の分類で見るとこのように採用銘柄がない業種も出てくることがあるのです。

そして「運輸・公共」は7業種あり、鉄道・バス、陸運、海運、空運、倉庫、電力、ガスの合計20銘柄がこのグループに入ります。例えばJR東日本やヤマトホールディングス、日本郵船、ANAホールディングス、三菱倉庫、東京電力ホールディングス、東京ガスなどです。

日経平均の値動きを採用銘柄や業種で考えてみると、より分かりやすくなります。参考になるのが日経平均の詳しいデータを掲載したウェブサイト「日経平均プロフィル」です。トップ画面に表示した日経平均の右側にある「日次サマリー」をクリックすると、毎日のまとめを見ることができます。例えば7月17日の日経平均は終値が前営業日に比べて100円01銭高の2万2697円36銭で、約1カ月ぶりの高値まで上昇しました。サイト中にある「セクター別騰落寄与度」を見ると、6つのカテゴリーのなかで「消費」が53円62銭と最も大きく押し上げに寄与したのが分かります。

さらに銘柄別で値動きを知りたい人は日経電子版が役立ちます。トップ画面の左上にある「日経平均」の左隣に黒い三角マークがあります。ここをクリックし、「採用銘柄一覧」を選ぶと、36業種の「日経平均騰落寄与度ヒートマップ」を見ることができます。営業日ごとに更新されますが、例えば7月17日の終値では「サービス」が27円87銭の上昇に寄与していました。サービスの文字をクリックすると、採用銘柄別の寄与度が表示されます。この日はトレンドマイクロが7円05銭押し上げました。

反対に押し下げが目立ったのは電気機器で、42円11銭のマイナスでした。ただ銘柄別を見ると、大きく押し下げたのはファナックの33円21銭分の影響が大きく、東京エレクトロンやデンソーなど他の電気機器の銘柄は上昇していました。

何気なく毎日見聞きする日経平均ですが、採用銘柄や業種で値動きをとらえると、より多面的に市場の現状をつかめるようになるでしょう。ぜひ日経のサイトを活用してみてください。

(2018年7月20日付日経電子版掲載)